薬剤師のおしごと②

睡眠剤の副作用。

僕は、3年前くらいに睡眠剤を飲んで寝ていたのだけど。

飲むと眠れる。ほんとに。

初めて飲む時は不安はあった。

初めて飲んだ時、僕は眠剤のことを甘くみていて。

飲んで、色々作業をしていた。

眠れて起きたのだけど。

ベッドまで行った記憶が全くない。

そして、一緒にいた人からは。

「 壁にゴンゴンって、ぶつかりながら歩いてた 」

と、言われて。

ゾッとしたよね。

記憶はない、かなりふらついてる。

よく階段から落ちなかった・・・。

でも、1回飲むと2回目からはそんな不安より、飲めば眠れるという気持ちになる。

だから、毎日、眠剤を飲む。

だんだん、途中で目が覚める様になる。

そうすると、違う作用時間が長い眠剤を飲む様になる。

作用時間が長いと、眠れるけど。

起きられない。

起きても、日中にだるさが残る。

眠りのホルモンバランスを整える薬も飲んだ。

悪夢を見る様になった。

寝汗めっちゃかいて目覚める。

そんな薬剤師だった。

だから、眠剤を飲む人にも気持ちが入るし、できるだけ飲まないで済む様になって欲しいと思って話をしている。

僕の眠剤歴を見ても分かる様に。

日本は、睡眠剤と言われる薬の処方ハードルが低い

(医師の考え方よる)

国の状況に違いがあるので一概に比較はできないかもしれないが。

海外に比べて睡眠薬の処方量がダントツで多い。

これまで僕が薬を渡してきた患者さんも数え切れないほど。

当たり前の様に処方される。

睡眠剤を飲む前に僕が確認すること。

初めて、処方された患者さんには、眠剤の処方を希望した理由を必ず聞く。

(眠剤は本人が不眠を訴えて処方を希望しなければ出ない)

何時に布団に入るのか?

どれくらいの時間眠れないのか?

何時に起きるのか?

昼寝はしないのか?どれくらいするのか?何時くらいにするのか?

トイレが近くて眠れないのか?眠れないからトイレに行くのか?

夕食は何時に食べるのか?

お酒は飲むのか?

寝る前にテレビやスマホは使ってないか?

寝室の温度は適切か?

お風呂に入る時間は何時なのか?

など、寝る為の準備と環境は整っているのか?

それから・・・。

寝つきが悪いのか?

途中で目が覚めるのか?

目覚めるのが早いのか?

「眠れない」の種類。

患者にすればどれも。

「眠れない」という、睡眠に対する満足度の低下がある。

他にも聞いているかもしれないけど・・・。

これを一度に聞くと尋問になってしまうので・・・。

聞けるところまで小分けにして聞くこともあるのだけど。

この、1つ1つの質問の答えによって話す内容が変わる。

場合によっては薬が変わる可能性もある。

本来、診察時に問診を受けて処方されているはずであるが・・・。

聞かれていないと思われる患者さんもまあまあいる。

睡眠剤は本当に必要なのか!?

例えば・・・。

末)「何時に寝るんですか?」

患)「19時」

末)「19時??21時でなくて??」

患)「19時。やることないから寝る」「そしたら2時くらいに目が覚めて眠れない」

末)「そりゃ、眠れないよ。2時に起きても6時間寝てるからね」

みたいな、やり取りとか・・。

患)「眠れないとトイレが近くてね」

末)「一晩で何回行くんですか?」

患)「5回くらい」

末)「それは、眠れないですね。ちなみにお酒は飲みますか?」

患)「そりゃ、飲むよ!飲まないと眠れないよ!」

末)「それは、お酒を飲むから途中で目が覚めるし、トイレも近くなるんですよ」

そんな、やりとりをしたりしてる。

本当に眠剤が必要なのか??!

飲む前に改善できれば、飲む必要はない。

眠剤は、飲まないに越したことはない薬。特に。

でも、飲むと楽に眠れるということは僕も知ってる。

そして、眠剤がどれだけ、ふらつきや、転倒のリスクが高いかも。

眠剤を服用している人の多くはみんな、こう言う。

「 癖(習慣)になっている 」

眠剤を飲むと言うことは、本来、「眠れない時に飲む」という対症療法なはずで。

毎日毎日、寝る前に飲んでたら、眠剤を飲まずに寝れたのか、どうかもわからない。

だから、眠剤が定期処方されている人には毎回、言う。

「眠れない時だけでいい」

「半錠にして飲んでみて、眠れなければあと半錠使っていいから」

「あらかじめ飲むのではなく、枕元に水と、薬を置いて、どうしても眠らない時だけのんで」

毎回毎回、言い続ける。

言い方を変え、言うタイミングを変え。

脳の神経に作用する薬が、体に及ぼしている影響は大きいと思う。

「 癖になっているから 」

の、一言で終わらせて良い話ではない。

一回の限られた時間の中で、その人の睡眠の課題を全て解決していくのは難しい。

でも、実際に何人も眠剤から離脱できた人もいる。

今まで飲んでた眠剤の量を半分に減らせたひともいる。

毎日飲んでた眠剤を、不眠時だけにできたひともいる。

減量がうまくいかなければ、その人は次からもう減らすことはしないだろう。

また、次からはこれまで通り、毎日飲み続ける。

だから、時間をかけて、少しづつ話をして、本人にも納得してもらいながらゆっくり減らしていくことを提案する。

何年も、飲み続けてきたひとが、薬を手放すことができたとき。

そりゃ、僕は嬉しい。

自分が、本気で嬉しいから、めちゃくちゃ喜ぶし、患者さんを褒める。笑

そこに、僕の存在価値があると思うし、薬剤師がいる意味がそこにあると思う。

ただ、間違いなく、いつもの薬を渡すだけなら、ロボットで十分だ。

薬剤師って、地味で何してるか分からないって言われるのだけど。

こんなこともやってます。